厚生労働省の統計
厚生労働省が公表した令和7年の監督指導結果によると、賃金の不払いが問題となった事案は22,605件、対象労働者は173,016人、不払賃金は128.6億円に上りました。監督指導後には、このうち110億円が労働者に支払われています。
会社側の注意点と事例
「うちは給与をきちんと払っているから関係ない」と思った会社ほど注意が必要です。実際の是正事例では、ICカードで勤怠管理をしていたにもかかわらず、始業前・終業後の15分間を一律に切り捨てていた会社が指導を受けています。業務をしていた時間まで切り捨てることはできません。会社は過去に遡って調査し、差額の割増賃金を追加で支払いました。もう一つ注意すべきなのは「固定残業代」です。月20時間分の固定残業代を支払っていた会社が、「固定残業代を払っているから大丈夫」と考え、20時間を超えた残業代や深夜割増を支払っていなかった事例があります。当然、超過分は別途支払わなければなりません。
申告・調査・送検について
未払い賃金は、社員からの申告をきっかけに労働基準監督署の調査が入るケースもあります。是正勧告を受けても改善しなければ、書類送検に至ることもあります。実際に、賃金約130万円を支払わなかった事案や、時間外・深夜割増賃金を支払わなかった事案が送検されています。
おわりに
「昔からこの計算方法だから」は通用しません。勤怠の丸め処理、固定残業代、始業前の準備時間、終業後の後片付けなど、自社の給与計算方法を一度チェックしてみてください。未払い賃金は、発覚してから直すより、発覚する前に直す方が圧倒的に安く済みます。