近年、企業の従業員に対して、お客様から不当な要求や迷惑行為が行われる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が問題になっています。
顧客や企業がその従業員に対して行う不当な要求や迷惑行為(カスハラ)は、業務への支障はもちろん、従業員のパフォーマンスや心身状態等にも影響するため、対策が必要です。
厚生労働省・あかるい職場応援団の「職場におけるハラスメント対策(カスタマーハラスメント対策)」の研修動画資料(令和6年6月11日改訂)が参考となるので、以下で紹介します。
参考資料:https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
カスハラに該当する行為、判断基準、対応例
この資料では、以下の9つの行為がカスハラとして挙げられています。
①長時間拘束型
②リピート型
③暴言型
④暴力型
⑤威嚇・脅迫型
⑥権威型
⑦店舗外拘束型
⑧SNS/インターネット上での誹謗中傷型
⑨セクシュアルハラスメント型
上記で挙げた9つそれぞれに、「該当行為例」「判断基準例」「対応方針・対応例」「該当する可能性のある刑法犯」について示されています。
例えば、長時間拘束型については、以下の様に示されています。
◇該当行為例居座り、長時間の電話など、顧客が正当な理由なく長時間従業員を拘束する。
◇判断基準例商品・サービスに問題がないにもかかわらず顧客が従業員を拘束する場合、約30分を目途にカスハラと判断する。
◇対応方針・対応例対応を上位者に代わる。(電話応対時、来店時)
◇該当する可能性のある刑法犯監禁罪刑法220条(3年以上7年以下の懲役)
一定の場所から移動の自由を奪う行為。
事前準備と対応策
ハラスメント行為を想定した事前準備として、以下のステップが推奨されています。
⓵事業主の基本方針・基本姿勢の明確化
②従業員への周知・啓発
③従業員(被害者)のための相談対応体制の整備
④対応方法、手順の策定
⑤社内対応ルールの従業員等への教育・研修を行う
ハラスメント行為が発生した際の対応としては、次のステップを踏むことが重要とされています。
⓵事実関係の正確な確認と、事案への素早い対応
➁従業員への配慮の措置
➂再発防止のための取組み
➃➂までの措置と併せて、プライバシー保護や従業員が不利益取扱いされないための措置などを講じる
まとめ
カスタマーハラスメントへの対策は、企業の健全な運営と従業員の安心・安全を守るために不可欠です。
しっかりと対策を講じ、カスハラに脅かされない職場環境を維持しましょう。