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【人手不足に陥っている業界に吉報!】育成就労制度について

今回は、6月14日に参議院で可決・成立した出入国管理及び難民認定法(出入国管理法)の改正についてご紹介します。

はじめに

1993年から運用されてきた技能実習制度が廃止され、新たに育成就労制度が創設されることになりました。
育成就労制度は、3年間で特定技能1号(※)に相当する外国人材を育成することを目的とした制度です。

※特定技能1号とは、「特定産業分野の相当程度の知識または経験を必要とする業務に従事する外国人向けの在留資格」のこと。
これは、日本の外国人材受け入れ制度における大きな転換点となるでしょう。

育成就労制度の特徴

【目的】
技能実習制度は技能の移転による国際貢献のための人材育成などが目的であることに対し、育成就労制度では日本の発展のための人材育成と人材確保を目的としています。

【在留期間】
技能実習制度では最大で通算5年でしたが、育成就労制度では原則3年となります。
ただ、育成就労期間終了後に特定技能1号を取得できればそのまま引き続き日本で働くことも可能です。
また、育成就労制度では「転籍」(別の企業に移ること)が可能になります。
その結果、優秀な外国人材が他社へ流れてしまうことは危惧すべきでしょう。
ただし転籍においては、同一機関での就労が1~2年(分野によって異なる)を超えていることや、技能検定試験基礎級等及び一定水準以上の日本語能力に係る試験への合格などが条件となります。

【受入れ対象職種・分野】
特定技能1号水準の人材を育成するため、特定技能と同様の16業種(介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業)となります。

【悪質なブローカー対策】
外国人材を不法就労させた場合の罪が厳罰化されます。
また、当分の間、民間職業紹介事業者の関与は認めない方針です。
また、技能実習の監理団体が「監理支援機関」に名称変更され、受け入れ機関の要件を適正化し、適切な受入れ・育成を実現します。

制度の開始時期は?

育成就労制度は、公布から3年後の2027年から開始され、2030年までが移行期間となる見込みです。

「2024年問題」の打開策となる可能性も

物流業や建設業では最近、働き方改革関連法による時間外労働の上限規制が2024年4月から適用されることによる人手不足、いわゆる「2024年問題」の影響が出ています。
これにより、建設業で53件、物流業で27件の倒産が発生しており、どちらも上半期としては過去最多です。
特に物流業では、時間外労働上限規制や改善基準告示が改正されたことにより、2023年上半期の15件と比較してほぼ倍増しています。
1人が退職すると、残された従業員がその穴を埋めることになり、負荷に耐えきれずドミノ倒しのように退職が連鎖するケースも多いようです。
人手不足解消のためには、外国人材を柔軟に受け入れることが重要です。

育成就労制度によって育てた外国人材は、3年経過後も特定技能1号を取得して自社で働き続けてくれる可能性があるため、人手不足の業界を救ってくれる存在となるでしょう。

まとめ

育成就労制度は、人手不足に苦しむ日本の社会と経済にとって大きな変革をもたらす可能性を秘めています。
企業は制度内容をしっかりと理解し、採用の強化や、労働条件の改善による外国人材の人権尊重など、自社に合った人手不足対策を検討していきましょう。


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