今年の夏は、例年以上に厳しい暑さが予想されています。
今回は、厚生労働省が昨年の5月31日に公表した令和5年の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」のデータをもとに、今年の職場における熱中症対策についてご説明いたします。
熱中症とは
熱中症とは、高温多湿な環境下において、体内の水分と塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻したりするなどして発症する様々な体調不良の総称です。
熱中症の発生状況と影響
令和5年には職場での熱中症による死傷者(死亡者および休業4日以上の傷病者)が1,106人に上りました。これは前年と比べて34%増加しており、全体の約4割が建設業と製造業で発生しています。
特に建設業では死亡者数が最も多く、12人にのぼりました。
発生時期とリスク要因
2019年以降の月別の熱中症の死傷者数をみると、熱中症の死傷者の約8割は、7月と8月に集中しています。
時間帯別に見ると、15時台が最も多く、次いで11時台が多くなっていました。
また、日中の作業終了後に帰宅してから体調が悪化するケースも報告されています。
年齢別でみると、全体の約5割が50歳以上でした。
厚生労働省の取り組みと現場での対策
厚生労働省は、令和6年の「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」を5月1日から9月30日まで実施しています。
それぞれの現場では、以下の3つを重点的に取り組むようにしましょう。
① 暑さ指数(WBGT)の把握と対応
現場の暑さ指数を適切に把握し、その値に応じた熱中症予防対策を実施すること。例えば、暑さ指数が高い日には作業時間を短縮する、休憩を増やすなどの対策が求められます。
※ 職場における暑さ指数について(厚生労働省)
https://neccyusho.mhlw.go.jp/heat_index/
② 労働衛生教育の実施
作業を管理する者および従業員に対して、熱中症予防のため、あらかじめ労働衛生教育を事前に行うこと。これにより、各自が適切な対応を取ることができます。
③ 健康状態への配慮
糖尿病や高血圧症など、熱中症の発症リスクが高い持病を持つ従業員には、就業中の業務内容において医師等の意見を踏まえた配慮を行うこと。
まとめ
熱中症は適切な対策を講じることで予防可能です。
建設業や製造業などの高リスクな職場では、特に意識を高めて対策を徹底しましょう。
今年の夏も「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を活用し、従業員の健康と安全を守るため、十分な対策を講じていきましょう。