はじめに
今回は、2024年度から段階的に縮小・廃止される高年齢雇用継続給付金について、最新情報と企業の対応策について解説します。
高年齢雇用継続給付金とは、60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者で、賃金額が60歳の時点で支給されていた額の75%未満になってしまった従業員に対して支給される給付金です。事前にハローワークで高年齢雇用継続給付の申請手続きを行い、認められれば各月に支払われた賃金の最大15%が支給されます。
高年齢雇用継続給付金の受給条件
高年齢雇用継続給付金を受給するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 雇用保険の被保険者であった期間が5年以上あること
- 60歳以上65歳未満の一般被保険者であること
- 原則として60歳以後に支払われる各月の給与月額が、「60歳到達時の賃金月額」と比べて75%未満に低下した状態で働き続けていること
高年齢雇用継続給付金の縮小・廃止スケジュール
厚生労働省は、2024年度から高年齢雇用継続給付金の縮小・廃止を段階的に進めていくことを発表しました。
【今後の流れ】
- 2024年度: 現行の給付率15%を維持
- 2025年4月: 新たに60歳に到達する人の給付率を10%に縮小
- 2025年度以降: 給付金は段階的に縮小。具体的な廃止時期は未定
企業がとるべき対応策
現在、60歳で定年を迎えた後に再雇用され、前述した3要件を満たし、高年齢雇用継続基本給付金の受給を前提として賃金月額を減額されている従業員と、今後段階的に縮小される新たな給付率により賃金月額の減額を決定する従業員とのバランスをどのように考えるかが課題です。さらに廃止された際にはどうするか検討する必要があります。
賃金月額の決定方法の見直しに加え、就業規則・給与規程等の見直しも必要になります。受給を前提に再雇用後の賃金月額を決定している場合は、高年齢の従業員の働き方や賃金について、早めに検討することをお勧めします。
まとめ
この制度の変更により、企業は新たな課題に直面することになります。早めに対策を講じることで、変更に伴う影響を最小限に抑えていきましょう。