今回は、就業規則と労働契約の関係について、わかりやすく解説いたします。
就業規則とは何か?
就業規則は、労働条件を統一的に設定するものであり、労働契約法では、一定の場合に労働契約の内容を就業規則によって定めることを規定しています。
労働契約とのバランス
就業規則の内容と異なる労働条件を合意した場合、および就業規則の変更によっても変更されない労働条件を合意した場合には、それぞれ労働契約法第7条ただし書きおよび第10条ただし書きにより、その合意が優先されます。ただし、この条文では、就業規則を下回る労働契約の効力についても規定しています。
就業規則を下回る労働契約
就業規則を下回る労働契約は、その部分については就業規則で定める基準まで引き上げられます。
「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約」とは、例えば、就業規則に定められた賃金より低い賃金など、就業規則に定められた基準を下回る労働条件を含む労働契約を指します。
就業規則で定める基準以上の労働条件を定める労働契約は有効です。
無効となる部分の取扱い
「その部分については無効とする」とは、就業規則で定める基準に達しない部分のみを無効とし、労働契約のその他の部分は有効であることを意味します(労働契約全体が無効となるわけではありません)。
「無効となった部分は、就業規則で定める基準による」とは、労働契約の無効となった部分については、就業規則の規定に従い、労働者と使用者の間の権利義務関係が定まることを指します。
まとめ
就業規則は従業員の保護を図るための重要なツールですが、労働契約による個別の合意もその権利を尊重します。このバランスを理解することは、従業員と使用者双方にとって有益です。就業規則や労働契約の見直しを検討する際には、法的な背景を踏まえた上で進めることをお勧めします。