今回は、企業経営にとって避けて通れない「従業員のメンタルヘルス対策」についてお伝えします。
小規模事業場で遅れるメンタルヘルス対策
厚生労働省の調査によると、従業員のメンタルヘルス対策を行う事業所は増えてきましたが、まだ十分ではありません。特に労働者数50人未満の小規模事業場では対応が遅れている傾向が見られます。令和5年の調査では、ストレスチェックを実施した事業場は全体の34.6%にとどまり、未実施が依然として多数派です。
なぜ今、メンタルヘルス対策が重要なのか
近年、職場のメンタルヘルス対策は、福利厚生にとどまらず、重要な経営課題となっています。特に人材確保の面では、従業員が安心して働ける環境づくりが、離職防止や定着率向上につながります。さらに、心身の不調による欠勤や休職が増えると組織全体の業務効率が低下し、生産性にも影響します。加えて、従業員50人以上の事業場ではストレスチェックが義務化されており、未対応のままでは法令違反のリスクを抱えることになります。
経営者が取るべき対応
経営者は、こうしたリスクを減らして職場環境を改善するために、積極的な取り組みが求められます。小規模な事業場でも自主的にストレスチェックを導入し、産業医や社労士など外部専門家と連携して相談窓口や研修を整備することが重要です。さらに、就業規則や労務管理にメンタルヘルス施策を明記し、全社員に周知することで、持続的な取り組みを進める基盤が整います。
まとめ
従業員のメンタルヘルス対策は、もはや福利厚生の一環にとどまらず、企業のリスク管理と競争力強化の重要な要素です。特にストレスチェックの実施率が低い小規模事業場こそ、この機会に取り組みを見直し、健全な職場環境を整備していきましょう。