今回は、厚生労働省が令和6年5月に公表した「職場のハラスメントに関する実態調査」の調査結果を踏まえ、職場のハラスメントについてご説明いたします。
はじめに
職場のハラスメントに関する実態調査は、前回調査から3年が経過し、ハラスメントに係る状況にも変化があると考えられることから、ハラスメントの発生状況や企業の対策の進捗、従業員の意識等を把握し、今後の諸施策に反映させることを目的に実施したものです。
企業におけるハラスメント相談件数傾向
調査によると、「過去3年間にハラスメントの相談があった」と回答した企業について、ハラスメントの種類別割合は以下の通りです。
・パワハラ(64.2%)
・セクハラ(39.5%)
・顧客等からの著しい迷惑行為(27.9%)
これらの、各ハラスメント(妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメント、就活等セクハラも含む)の相談件数の推移については、セクハラ以外は「件数は変わらない」という回答の割合が最も高く、セクハラのみ「減少している」が最も高くなりました。
ただ、「顧客等からの著しい迷惑行為」については、「件数が増加している」という回答の割合のほうが「件数は減少している」という回答より高くなっています。
従業員におけるハラスメント被害経験
従業員が過去3年間に勤務先で経験したハラスメントの割合は以下の通りです。
・パワハラ(19.3%)
・セクハラ:(6.3%)
・顧客等からの著しい迷惑行為(10.8%)
パワハラやセクハラを受けた後の行動として最も多かったのは「何もしなかった」でしたが、顧客等からの迷惑行為については「社内の上司に相談した」が最多となりました。
ハラスメント対策の重要性
これらの調査結果からも分かるように、ハラスメントは依然として多くの職場で発生しており、その対応策を講じることが重要です。
企業としては、ハラスメントの発生を防ぐために以下のような取り組みが求められます。
◇ 明確なポリシーの制定と周知
ハラスメント防止のためのポリシーを明文化し、全従業員に周知徹底します。
◇ 教育と研修の実施
定期的な研修を通じて、従業員にハラスメントの理解を深めさせるとともに、対処方法を学ばせます。
◇ 相談窓口の設置
相談しやすい環境を整えるために、専用の相談窓口を設置し、匿名での相談も可能にします。
◇ 迅速な対応とフォローアップ
ハラスメントが発生した場合は、迅速かつ適切な対応を行い、再発防止のためのフォローアップを徹底します。
まとめ
ハラスメントは、働く人々の心と体に深刻な影響を与えるだけでなく、企業の健全な運営にも支障をきたします。
今回の調査結果を踏まえ、企業は継続的かつ、積極的にハラスメント防止に取り組んでいきましょう。
【参考資料】:「報告書概要」[636KB]