厚生労働省が、割増賃金の算定における「在宅勤務手当」の取扱いについて、都道府県労働局長に通達しました。
そこで、今回は「在宅勤務手当」の取り扱いについて、解説いたします。
はじめに
近年、急速に普及しているテレワーク。
通勤時間の削減やワークライフバランスの向上など、多くのメリットがある一方、通信費や電気代などの負担増加も課題となっています。
そこで注目を集めているのが「在宅勤務手当」です。
在宅勤務手当金とは?
在宅勤務手当とは、テレワークによって発生する費用の負担を軽減するために支給される手当です。
支給額は会社によって様々で、一律に定められた基準はありません。
在宅勤務が増加する中で、多くの企業が通信費や事務用品の購入など、在宅勤務に必要な実費を弁償するための手当を導入しています。
在宅勤務手当は割増賃金算定時の基礎賃金に含まれるか
厚生労働省は、従業員に対する在宅勤務手当が、在宅勤務に必要な通信費などの実費を弁償するものとして支給される場合は、労働基準法上の賃金に該当せず、割増賃金の基礎となる賃金には算入しないとしました。
同じ理由によって、在宅勤務手当は社会保険料や労働保険料の算定基礎にも含まれません。
在宅勤務手当を導入する時のポイント
・実費弁償分に当たり得る費用としては、事務用品の購入費用、通信費、電気料金、レンタルオフィスの利用料金などを挙げられます。
・在宅勤務手当が実費弁償分として認められるためには、従業者が実際に負担した費用のうち、業務に使用した金額が特定され、その実費を精算するものであることが外形上明確な必要があるとしています。
・そのため、就業規則などで実費弁償分の計算方法が明示されている必要があるとしました。計算方法は、在宅勤務の実態を踏まえた合理的・客観的な計算方法でなければなりません。
・毎月一定額を支給し、従業員に支出がなかった場合でも返還しなくて良いような手当は、実費弁償に当たらないとしています。
まとめ
厚生労働省の通達により、在宅勤務における手当支給のルールがより明確になり、企業は手当の運用を進めやすくなりました。
企業の人事担当者や経営者の皆様は、自社の在宅勤務手当の運用を見直し、法令に則った適切な制度を構築することが重要となっていきます。