今回は、厚生労働省が取り組む新たな過労死等防止対策についてご紹介いたします。
新たな過労死等防止対策大綱の素案
厚生労働省は、今年7月の閣議決定を目指している新たな過労死等防止対策大綱の素案を作成しました。
素案では、国が取り組む重点対策として、以下の3つのポイントを掲げました。
①時間外労働の上限規制の徹底遵守
上限規制については、4月から建設事業や自動車運転業務などでも適用が開始されたため、労働基準監督署で遵守の徹底を図ります。これに対し、施主や荷主などの取引関係者にも長時間労働の改善に向けた協力を呼び掛けていきます。
②脳・心臓疾患または精神障害に関する労災保険の支給決定が行われた企業における再発防止対策の強化
過労死等の再発防止対策として、これまで行ってきた発生事業場に対する監督指導・個別指導に加えて、企業本社における全社的な再発防止対策の策定を求める指導を実施します。企業本社への指導は、事業場を通じて行います。
③勤務間インターバル制度の周知
従業員が健康を守るためにも重要な勤務間インターバル制度の普及と周知を促進します。これにより、従業員が十分な休息を取れる環境の整備を目指します。
さらに、一定期間内に複数事案を発生させた企業に対しては、企業の本社を管轄する都道府県労働局長から「過労死等の防止に向けた改善計画」の策定を求め、その計画に基づく取り組みを企業全体に定着させるための助言・指導(過労死等防止計画指導)を実施することにしました。
まとめ
これらの対策は、従業員の生命と健康を守るためのものです。適切な労働時間の管理と健康への配慮は、持続可能なビジネス環境を築くために不可欠です。今後の政府の動向と共に、各企業の対応も注目されるところです。