今回は、年次有給休暇の買い上げについてご説明いたします。
通常、「年次有給休暇の買い上げ」は労働基準法に違反する行為です。
しかし、例外的に認められるケースが2つ存在します。
1. 退職する従業員の有給休暇の買い取り
従業員やパートタイマーが退職する際、その時点で残っている有給休暇日数を企業が買い取ることができます。
例えば従業員が有給休暇の残日数分をすべて取得するとなると、引継ぎ等が不完全のまま退職日をむかえ、業務上の支障が生じることがあります。
そのため、行政通達では、業務多忙等のやむを得ない場合は、有給休暇の買い取りを認めています。
一方で、従業員から有給休暇の買い取りの請求があっても、企業側は買い取りを拒否することが可能です。
ただし、従業員が残っている有給休暇を取得することを求める場合は、これを拒否することはできません。
2. 2年を経過した有給休暇の買い取り
2年を経過した時点で残っている有給休暇日数を買い取ることができます。
有給休暇には2年という時効があります。
1年目の有給休暇をその年に使いきれなかった場合、2年目に繰越すことができますが、それでも使いきれなかった場合、失効してしまいます。
使いきれずに失効してしまう有給休暇については、企業が買い取っても違法ではないとされています。
なお、パートタイムの従業員に関してですが、入社して6ヶ月以上が経過すると、正社員と同様に有給休暇の権利を持ちます。
このように、「年次有給休暇の買い上げ」は特定の条件下でのみ可能とされています。
これらのポイントを理解し、適切な対応を心がけることが、法令遵守だけでなく、従業員との良好な関係を維持するためにも重要です。