今回は、実際の判例を挙げて、安全配慮義務の重要性についてご説明します。
簡単にまとめましたので、ぜひご一読ください。
『マツダ社員がうつ病により自殺した事件』において、遺族が起こした訴訟で、神戸地裁は企業に対し、
約6,300万円の支払いを命じました。
この事件では、マツダの安全配慮義務違反が認められました。
具体的には、取引先との間でトラブルが頻発していましたが、その社員は上司からの支援を受けられず、
長時間の残業が続いた結果、うつ病を発症し自殺に至ったとされています。
この自殺はすでに広島労働基準監督署によって、過労が原因であると労災認定されていました。
労災認定されると、民事訴訟で企業が多額の賠償金を支払う可能性が高まるのです。
ここで注目すべきは、これが大企業に限った話ではないということです。
中小企業においても同様の事態が起こり得ます。
時には企業の存続に関わる重大な問題となります。
では、どのようにして安全配慮義務を果たすことができるのでしょうか?
重要なポイントは以下の通りです。
1.社員の勤務時間を把握し、残業を減らす具体的な措置を講じる。
2.精神的または身体的に不調な社員に対して、医師の面接指導を受けさせる。
3.本来の業務が困難な場合は、休職を促す。
つまり、企業は従業員の勤務状況と健康状態をきちんと把握し、適切な対策を講じることが求められています。
現在、従業員自身に自己管理を求めるだけのアプローチは、
労基署や裁判所では通用しないことを、ぜひ認識しておきましょう。
企業が従業員の健康を守るためには、具体的な対策が不可欠です。
今回の判例を教訓に、職場の安全対策を見直していただければと思います。