今回は、2021年6月22日に厚生労働省が提示した、「脳・心臓疾患に対する労災認定の報告書(案)」の一部をご紹介します。同報告書がまとまれば、これまでよりも労災を認定しやすい仕組みが出来上がります。詳しい内容を見ていきましょう。
従来の過労死ラインを超えなくても労災認定されるケースが
元々の過労死ラインは、
・発症の直近1カ月間における残業時間が100時間
・発症する2~6ヵ月前の月平均残業時間が80時間
が基準となっていました。
新たな制度では、上記の残業時間を超えていなくても、それに近い時間の残業をしており、負荷が見られる場合は、症状と関連性が高いものとして扱われます。
休憩時間や心理的ストレスも判断材料に
新たな制度では、勤務終了から次の勤務開始までの時間が11時間未満かどうかも判断材料となります。また、休日の数やノルマなどの心理的ストレスについても、総合的に判断される予定です。
今後の労災認定では、残業時間だけで判断されることが少なくなり、今までより認定されやすくなると見込まれます。
新たな制度のはじまりを機に職場環境を見直そう
労災認定の新たな制度が始まれば、事業主としては従業員の心理的ストレスや休憩時間などを、これまで以上に配慮する必要があります。仮に職場内で超過労働による労災が発生した場合、社内外の信頼を失いかねません。