今回は、厚生労働省がまとめた「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」の結果についてお話しします。
はじめに
近年、不妊治療を受ける方々が増えています。
不妊治療は、病院の診療時間が平日に限られるなどの理由で仕事と両立させることが難しい場合があります。
また、プライベートな問題なので、会社に相談しづらい従業員も多いでしょう。しかし、晩婚化が進み、不妊問題を抱える夫婦の増加が見込まれる今、会社が不妊治療と仕事を両立しやすい環境を作ることが重要です。
不妊治療に関する支援制度がある会社の割合は?
今回の調査では、不妊治療中の従業員への支援制度や取り組みの運用状況についてまとめられています。
◇支援を行っていない企業(73.5%)
多くの企業が何らかの支援制度を設けていない状況です。
制度がない理由として以下の点が挙げられています。
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①要望が表面化していない(26.4%)
不妊治療中の従業員からの具体的な要望が会社に届いていないことが主な理由です。 -
②不妊治療中の従業員を把握していない(22.2%)
従業員のプライバシーの問題もあり、不妊治療を受けていることを会社側が把握できていない状況です。
◇支援を制度化して行っている企業(10.6%)
一部の企業では制度化された支援を提供しています。
支援内容については後述します。
◇個別対応で支援をしている企業(15.9%)
制度化されていないものの、個別に対応している企業も存在します。
全体として、何らかの支援を行っている企業は全体の26.5%にとどまっています。
不妊治療中の従業員への具体的な支援内容
支援を制度化して行っている企業の具体的な支援内容としては、不妊治療に利用できる休暇制度の運用が最も多く挙げられています。
具体的には、以下のような支援制度があります。
・特別休暇
不妊治療のための休暇を特別に設ける。
・有給休暇の利用促進
有給休暇を治療のために柔軟に利用できるようにする。
・勤務時間の調整
治療に合わせた勤務時間の調整や時短勤務の導入。
まとめ
不妊治療と仕事の両立支援は、今後ますます重要な課題となります。
従業員が安心して治療を受けられる環境を整えることは、企業にとっても人材確保に繋がる大切な取り組みです。
不妊治療と仕事の両立ができずに退職してしまう従業員が出ないよう、積極的に支援制度を導入していきましょう。