今回は、多くの従業員にとって重要な育児休業期間の延長に関する法的な枠組みと、その申請手順について解説します。
育児休業の基本と延長条件
育児休業は、子の1歳の誕生日を迎える前日までの間、女性は産後8週間を経過した日から取得可能です。
しかし、この期間を子が1歳の誕生日の前日(延長している場合は1歳6カ月または2歳の誕生日の前日まで)に当該従業員またはその配偶者が育児休業中であり、以下①と②のいずれかに該当すると、延長することが認められています。
①保育所等への入所を希望しているが入所できない(入所保留通知・市町村が発行した保育が行われないことの証明書が必要)
※保育所等とは、児童福祉法に規定する保育所等をいい、いわゆる「無認可保育施設」は含まれません。
②常態として子どもを育てる予定だった配偶者が、死亡やけが・病気、離婚等によって育児をすることが難しくなった
手続きの流れと期限
子どもが1歳6カ月になるまで育児休業を延長する場合は、原則として1歳の誕生日の2週間前までに事業主に申し出ること、書面については任意の書式で良いことになっています(申し出るべき事項は育介則7条1項に規定があります)。
雇用保険育児休業給付金についての注意点
子どもが1歳に達する日または1歳6カ月に達する日の翌日について、保育園入園の申し込みを行っていない場合など復職の意思がない場合は、雇用保険育児休業給付金の延長手続が行えず、支給されなくなる場合があります。
保育園入所の申し込み時期についてはお住いの市町村へご確認下さい。
事業主の対応とハラスメント回避の重要性
従業員から延長の申し出があった場合、従業員に問題があり、申請に必要な書類が揃わない場合などの正当な理由なく拒むことはできません。
但し、人材確保や経営の観点から、保育園に入所できた場合に、すぐに復職する意向があるかなどの確認を行うことは差し支えないとされています。過度な追及や強い口調での確認はハラスメントと捉えられるので避けたほうが良いでしょう。
まとめ
育児休業の延長は、従業員にとっても事業主にとっても重要な手続きです。
この手続きをスムーズに進めるために、正しい知識と理解を深めていきましょう。