金融庁は11月1日に、金融機関の中小企業向け融資で経営者が個人で背負う「経営者保証」を、2023年4月から制限する改正案を発表しました。
メガバンクや地域銀行、信用金庫といった金融機関は保証の必要性など理由を具体的に説明しない限り、
経営者保証を要求できなくなります。
金融機関が融資時に経営者保証を求める場合には説明義務を課し、
その内容を記録して金融庁に件数を報告することも義務付けます。
金融庁はヒアリングを実施し、手続きに違反がある場合や企業とのトラブルが起きるなど、
自主的に改善が期待できなければ行政処分の対象になります。
経営者保証はなぜ行われてきた?
経営者保証は、
- 経営規律を保つ
- 信用の補完
といった観点で金融機関が中小企業融資に付けてきました。
これまで金融機関は債権保全を重視してきた背景から、
従来の習慣を踏襲して保証をとっているケースも多く見られます。
経営者保証の問題は?
倒産したときに会社資金で融資を返済できなければ経営者の私財で返済する必要があります。
ただ、個人破産すれば再起しようとしても新規融資を受けにくくなり、起業が進まない一因となってきました。
また、事業継承時にリスクととらえられ、後継者が見つからない要因でもあるとされています。
こうした問題から、今回の改正が決定されました。
中小企業が新規融資を受けやすい環境整備が進んでいきそうです。