今回は、「360度評価」について、アイリスオーヤマの事例を参考にポイントを解説します。
社会的に年功序列制度が薄れている中、これまで行われていた上司からの一方的な評価制度は見直されています。実施が進んでいる大企業では、部下・同僚・上司による人事評価を行う「360度評価」をどのように運用しているのでしょうか。
アイリスオーヤマでは大規模な360度評価を実施
アイリスオーヤマの360度評価では、約5,000人の従業員に、自分が評価する人物の名前を記載した用紙を配布。入社4年目のAさんは10~15人、部長のBさんは30人~40人と、評価対象は多岐にわたります。
評価内容は人事部によって集計・分析し、同等級内や部門内での順位が通知される流れです。
自己評価と他者評価のギャップがひとめで分かるレーダーチャートを1人ずつ作成するなど、大きな労力がかけられています。
評価ではなく育成に活かす企業も
360度評価を実施する目的の多くは、人事評価への活用や昇進・昇格の判断基準です。
しかし、従業員の育成に限定している企業もあります。ライオン株式会社では、社員の自立的な成長を目的に、多角的な評価を行い、上司と部下で共有する体制をとっています。
360度評価は入念な制度構築が重要
360度評価は、1人の人物による恣意的な評価を避けられるため、評価の精度を高められるメリットがあります。リーダー層と部下の距離が近くなりやすい中小企業にとっても、メリットが大きいでしょう。
しかし、アイリスオーヤマの事例から分かるとおり、360度評価の効果を高めるためには入念な制度構築が必須です。そのため、まずは能力育成にのみ活用するなど、段階的な導入でも良いでしょう。