今回は、倒産数が減少している現状について解説します。
コロナ禍の景気悪化により、倒産が増え続けていると思っている人は多いでしょう。実際には倒産が抑えられている背景には、どのような要因があるのでしょうか。
2021年上半期の倒産件数は2000年以降最小
帝国データバンクの調査によると、2021年上半期の倒産件数は3,083件。半年の倒産数で比較すると、2000年以降で最小を記録しています。
2009年のリーマンショック時は、上半期で7023件が倒産しており、コロナ禍での倒産件数は約半数です。
政府の取り組みが影響している
倒産が抑えられている要因のひとつは、政府の積極的な取り組みにあると考えられます。新型コロナウイルスによる経営悪化を救うための補助金や、ゼロゼロ融資が代表例です。
実際に、帝国データバンクの調査では、2021年3月時点で43.2%の企業が資金繰りについて「楽である」と回答しています。
中小・零細企業にとっては安心できない未来も
現状では倒産が抑えられていても、コロナ禍が長期化すれば、中小・零細企業にとって厳しい状況になります。
中小・零細企業は、大企業と比べて事業内容が限られるため、事業譲渡や事業転換は難易度が高いでしょう。融資を受けるにあたっての金融機関の精査も厳しくなっており、事業計画を見て回復が臨めない企業は、承諾されないケースも増えると見込まれます。